サニーは仲間の警察や機動隊とともにとあるビルの前に来ていた。ビルの屋上では一人の男性が女性に銃を突き付けて立てこもっていた。

「目的は何なの?要求は?」
「人質の女と結婚することだ!要求はない!」

サニーの問いかけに男は答えるとことの経緯を明かした。

二人はマッチングアプリを通じて出会い、男は結婚を意識していた。
しかし彼女は男の収入が少ないことを理由に別れ話を切り出していた。収入のことを言われて激高した男は別れを決意するどころかどうしても結婚したいという理由で無理やりプロポーズを迫るが、それでもなお拒絶されると彼女を人質にとってビルの屋上で立てこもったのだった。

男は人質の彼女に結婚を迫るが、彼女は拒み続けた。

「だったらくたばれ!」
男は人質を殺害しようと引き金を引くそぶりを見せた。サニーと仲間達は犯人を説得するが、聞く耳を持たない。
それどころか興奮した男は人質だけでなく警察も殺すと言い出し、周囲に緊迫感が走った。

何とか人質を助け出そうとサニーは考えるが、下手に男を刺激すると最悪の事態を招く可能性があり、なかなか方法が思い浮かばない。

サニーは男に大切なものや思い出がないか聞き出すが、何もないと即答されてしまい作戦は失敗した。男と人質は結婚と別れの一点張り、もはや打つ手はなくなった。

やがて男は人質を押さえつけだした。サニー達は人質の危険を察知すると強行突破を図ると男は銃で抵抗し、銃撃戦となった。

サニーは人質に弾が当たらないよう細心の注意を取りながら戦うが、人質を気にするあまり次第に追い込まれてしまう。しかし仲間の機転で窮地を脱すると徐々に男を追い詰めていった。

やがて男はサニー達に囲まれ、事件は収束に向かっていったようだが、諦めの悪い男はなおも抵抗を続けた。

そして、男が発砲した銃弾が警官の一人に命中した。サニーは撃たれた仲間に駆けよると男は隙をついて逃げ出すと人質に発砲した。
男の放った銃弾は人質の腹部に命中した。男はその場で逮捕され、撃たれた二人は病院に搬送されたが、警官は防弾チョッキで助かった一方人質は致命傷を負って死亡した。

犯人は逮捕できたが、仲間をかばったことで結果的に人質が殺されてしまい後味の悪い幕引きを迎えた。

サニーは今回の事件で自分は正義のために活躍していたのにそれが果たせず思い悩んでしまう。やがて人質を助けられなかったサニーは自分は刑事としていられる立場にないと感じ、辞職した。

人質を守れなかったサニーはあれから虚ろ目になっていた。無気力になり何に対しても気力が起きない彼女をアムールは気にかけていた。

「私出かけてくる・・・」
サニーはそう言い残して家を出た。

街は平穏で昔よりも治安は良くなりつつあるが、サニーには灰色に見えた。住民も様子のおかしいサニーが気になっているが、今の彼女にはどうでもよく見えてしまった。
街から河川敷に出ると川を眺めた。水面には無気力な表情のサニーが写っていてその姿を見た彼女は自分の無力を痛感した。

やがて人気のない開けた場所に出ると突然周囲に衝撃が走った。目の前に現れた黒マントの姿にサニーは見覚えがあった。

「まさかデッドデビル?」

「まさかこの俺を覚えてるとはねえ。それとデッドデビルはなんかダサいからやめろ。そうしないと殺すよ。」
デッドデビルはこの異名を嫌っていた。サニーはそんな彼の異名を変えた。

「じゃあダークジャスティスね。」
「別に悪くねえな。ククク・・・まあいい、あの時の借りは返すよ!」
彼はそう言うとサニーに攻撃を仕掛けた。抜け殻状態のサニーはなすすべもなく押されてしまう。

「これほどまでに落ちぶれようとは、防戦一方で退屈だけどここでくたばってもらうよ。」
「殺したきゃ殺せばいい・・・私には何も守れないから・・・」

予想外の返答に驚くダークジャスティス。彼はひたすらサニーを甚振った。

「終わりだ」
ダークジャスティスはとどめの斬撃を放った。攻撃はサニーに向かって一直線で飛んでいく。

サニーは黙って攻撃を受けるのを待っていた。

「最後に言い残すことはあるか?」
「全てを救えなかったけど私は充実した人生送れたよ。」

サニーはそう言うと黙って微笑みかけた。攻撃はサニーの目の前まで迫り、死亡するのも時間の問題だった。

すると突然何者かによって攻撃をかき消された。サニーの目の前にはアムール、ルージュ、フローラ、ソレイユ、マイケルがダークジャスティスの前に立ち塞がっていたのだ。

その姿を見たサニーは次第に目の前に色が戻っていった。皆の呼びかけで自分は一人じゃなく無力でもない、そう感じたサニーは再起したのだった。

サニー達は一斉にダークジャスティスに攻撃を仕掛けた。攻撃は聞いてるかに見えたが、殆どダメージを受けていなかった。

「仲間が揃ってもこの程度か、貴様の生ぬるい正義など通用せぬわああああっ!!!」
激しい斬撃を放ち、よけるサニー達。斬撃は大爆発を起こした。

「こんなの食らったら即死だわ。」
ルージュは言う。

再び反撃をするサニー達は無我夢中で攻撃を続けた。しかしダークジャスティスは6人がかりの攻撃をものともせず吹き飛ばした。

「まるで歯が立たないわ。」
かつて一撃で殴り飛ばされて逃げた時とは比べ物にならないほどダークジャスティスは強くなっていた。そんな彼に驚くサニー。

ならばと全方向に分かれて一斉に攻撃を繰り出した。打撃に衝撃波といった持てる力を余すことなく発揮していくが、ダークジャスティスは素手で攻撃を受け止めると攻撃を跳ね返した。
攻撃をよけると再び反撃に出るが、サニーが攻撃を仕掛けた瞬間突然姿を消すと一瞬で背後に回り、攻撃を仕掛けた。

「どうだ、瞬間移動には手も足も出ないだろう!」
ダークジャスティスは高笑いした。その隙にアムールが背後からエネルギー弾で攻撃を仕掛けた。

サニーとアムールで挟む形で一斉に攻撃を始めると再び総力を挙げた。このまま一気に畳みかければ倒せるだろう、サニー達はそう信じて攻撃を続けた。

やがて光の玉を一斉に投げつけると大爆発を起こした。

「やったか!?」

勝利を確信するサニー。しかし煙が消えると何事もなかったかのようにダークジャスティスが立ち上がってきたのだ。

「これだけやっても倒せないなんて・・・」
サニー達は戦慄した。そしてダークジャスティスは反撃に出るとサニー達は返り討ちに遭い、一撃で倒された。

「さて邪魔はいなくなったしこれから人間狩りでもするか。」
ダークジャスティスは不敵な笑みを浮かべながらその場を去ろうとした。サニーはそうはさせまいと彼の足にしがみついた。

「人類を殺して何になるっていうの?」
サニーの問いかけにダークジャスティスは答えた。

「それはもちろん地球を破壊するからに決まってるだろ。目的のためには本来の自然を破壊して環境をめちゃくちゃにする、こんな野蛮な生き物がいたらいずれ地球は滅ぶからそうなる前に人類は絶滅させて本来の自然あふれる地球を復活させるんだよ!それが俺の正義だ。」

ダークジャスティスの思想にサニーは怒りを見せた。

「確かにそれは言えてる、けど自然を守る動きだってあるしそんな一方的な思い込みは正義じゃなくて悪魔よ!」
サニーはそう言いながらエネルギー弾を撃ち続けた。

「じゃあてめえの正義はなんだ?人類が全てだというのか?そういう悪魔はてめえだろ!人類がいるから地球は汚れる、この世界に人類は必要ないんだよ!!」
ダークジャスティスはそう言うとしがみつくサニーを地面に叩きつけて引き離そうとした。しかしサニーは体が血に染まっても決して離れずにエネルギー波を放った。

攻撃を受けた拍子にダークジャスティスは足元が不安定になりその場に倒れた。その瞬間にサニー達は一斉に攻撃を仕掛けようとするが、すぐに立ち上がると反撃に出た。

双方の攻撃がぶつかり合うが、ダークジャスティスは息切れすることなくサニー達を圧倒した。互いが血に染まる中猛攻に耐えるサニー達は次第に限界を感じていた。

「終わりだな。」
ダークジャスティスが止めの一撃を当てようとした時サニーの手から剣が現れたのだった。

突然現れた剣に驚くダークジャスティスにサニーは剣を振りかざした。すると初めてダークジャスティスにダメージを与えたのだった。

これに続き、再び全員で攻撃を始めるサニー達。次第にダークジャスティスは追い込まれていった。

そして剣から放たれた光線がダークジャスティスを直撃し、遂に彼はその場に倒れた。

「やった、遂に終わったのね。」
歓喜するサニー達、しかしそんな彼女たちの前に再び立ち上がると怪物のような姿に変貌した。

「真の力を発揮する時が来た。」
ダークジャスティスはそう言うと口から光線を放った。サニー達が攻撃をよけると彼の周囲に大量の丸い物体が現れると一斉に飛んできた。
何とかよけるとそれは一斉に爆発し、サニーは剣から衝撃波を飛ばして爆弾を処理した。しかし爆弾は次々と降り注ぎ、数が多すぎて処理が間に合わなかった。

ならばと爆弾が飛んでくる前に剣から放つ衝撃波で処理していき、そのままダークジャスティスにも攻撃を仕掛けた。ひたすら攻撃を仕掛けるが、ダメージを受けることなく立ちはだかっていた。やがて不敵な笑みを浮かべると手から放たれた光線が上空に広がると一斉に降り注いだ。

「滅べ人間!!」
ダークジャスティスはそう言いながら威力を高めていった。サニーはひたすら剣で衝撃波を飛ばして光線を消すが、範囲が広すぎて消しきれず周囲では住人に被害が続出し、血濡れになって倒れる者や体がバラバラに破壊された者もいた。すぐにマイケルは救護班を派遣して負傷者の治療に当たった。

そんな中サニーはダークジャスティスへの怒りから剣から黄色い光線が放たれた。攻撃が当たると立て続けに剣で攻撃を続けた。仲間達も続いて攻撃を仕掛けるが、それでも攻撃を抑え込まれてしまった。

次第に劣勢になるサニー達。剣と拳がぶつかり合い、拮抗していたが剣が破壊され、追い込まれていった。

もう終わりだと思った瞬間一人の男が助太刀に入った。サニーはその姿を見てゲンムだと気が付いた。

「ゲンム、来てくれたのね。」
「地球で大変なことが起きてるようで胸騒ぎがしたから駆けつけてみたらえらいことになってるな。」

ゲンムは状況を見て怪物のような姿の敵(ダークジャスティス)にやられたことに気付き、戦いを始めた。するとまるで幅立たなかった怪物化した彼を圧倒したのだった。

ダークジャスティスを一気に追い込むゲンム。止めの一撃でダークジャスティスはその場に倒れた。

「終わった・・・のか?」
半信半疑になるゲンム。するとダークジャスティスのほうから声が聞こえてきた。

「自爆してやる!」
ダークジャスティスがそう言うとタイマーのような音が鳴り始めた。

予想外の宣告に驚くサニー達。

「俺が自爆すれば当然俺は死ぬ、だが全人類も死ぬ。地球とともに吹き飛べ!」
ダークジャスティスは地球ごと道連れにしようとした。

このままでは地球ごと吹き飛ばされてしまい、全てが終わってしまう。サニー達は最悪の事態を回避する方法がないか考えた。

するとゲンムはあることを提案した。

「俺が奴を空高く殴り飛ばすから落ちてくる前にエネルギー波で押し上げ続けろ。そうすれば地上への被害も最小限に抑えられる。」
ゲンムの提案に全員賛成した。

ゲンムはダークジャスティスを空高く殴り飛ばし、落ちてくる前に全員でエネルギー波で押し上げた。

「何の真似だ!?俺だけ殺して生き延びるつもりか?」
最後の悪あがきとばかりにダークジャスティスは破壊光線を放った。双方の攻撃がぶつかり合うが、ゲンムを加えた7対1では成すすべもなかった。それでもサニー達を殺そうと限界まで威力を高めた。

「人間どもが神に逆らうなあああああっ!!!」
「たとえ神様だろうが何だろうが地球は破壊させない!!!」
自らを神と称するダークジャスティスだがサニー達に押され、どんどん上空へ押し上げられていった。

そして遂に上空で大爆発が起き、ダークジャスティスは一人自爆で散ったのだった。

その後爆発による被害はなく平穏な日常が戻った。ゲンムは戦いが終わるとまたどこかへと去っていき、サニー達も元の日常に戻っていった。しかしサニーには何か引っかかることがあった。

「私のやってることは正義なんだろうか?」
サニーの言葉にアムールは目を丸くした。

「正義というのは見方によって変わります。一見悪に見えることでも見方によっては正義であれば正義に見えることでも見方によっては悪に見えることもあるでしょう。それに正義の心が暴走すると逆に悪になってしまい、世間から非難されてしまうかもしれませんから正義に正解はありません。しかしサニーは地球を守ったので何も間違っていませんよ。」
アムールの言葉に心が軽くなるサニー。

それからはアムールの言葉をモットーに活躍するサニーであった。

終わり

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